2016年の制作チュートリアル動画BEST16
お気に入りの曲を解析する
今日は曲解析についての良記事をご紹介したいと思います。
制作スキルを上げる方法として、他の人の音楽を解析・分析するのはとても効果的です。何がその曲を良くさせているのか、どのような構造になっているのか、いかにリスナーを飽きさせない展開作りを行うかなど様々なアーティストの曲を解析し、自分の曲に当てはめていくことで制作のレベルがグッと上がります。
それではいきましょう。
1. 曲を「聴く」
曲解析の最初のルールは曲を意識して「聴く」ということです。iPhoneの通知はオフにして完璧に集中できる環境を作り、少なくとも同じ曲を最初から最後まで3回は聴きます。曲を聴くときに何を意識するのかというと...
(1)まずはじめに...
・メロディ
・ハーモニー
・リズム
・構成
・構造
・テンポ
・音色
・抑揚
・ミックス
曲を聴いてみてこれらの要素がどのように働いているか、ひとつづつ書きだしてみましょう。
何に気づきましたか?何が好みで何が好みでないでしょう。
(2)次に...
(1)で特に気になった3つの要素を選んで次の問いに答えてみましょう
・なぜそれらが気になったのでしょう。何がその3つをユニークなものにしているのでしょう。
・それらは曲中でどのように使われていますか。それがどのように機能しているかわかりますか。
・それらは曲中で繰り返し使われていますか。そのパターンはわかりますか。
(3)最後に...
次に音色に注目してみて次の問いに答えてみましょう。
・そのミックスはどのような雰囲気を持っているでしょう。明るい、暗い、濁っているなど。
・特に気になった特徴的な音やサンプルはありますか。
・ミックスバランスはどうでしょう。故意に大きくなっている楽器はありますか。それは曲にどのように影響していますか。
ここまで来てわかるかと思いますが、いきなり集中して曲を「聴く」というのはかなり難しいと思います。私が勧めるのは週一回、一時間ほどかけて3回以上曲を「聴い」てみましょう。直接曲作りのアイデアには関係がないかもしれませんが、曲構造や楽器の使われ方を理解するのにとても役立ちます。
2. ドラムパターン
曲解析においてもうひとつ有益なのはドラムパターンを理解するということです。
すべてのドラム隊の楽器はある一定のパターンがあり、それが繰り返されています。同じ曲に違うドラムパターンを当てはめるのはとてもいい練習になります。
その前に、どのようにパターンを解析するのか見ていきましょう。
◎ビートを書く
・上のチャートを使ってパターンを記入してみましょう。
・その曲が4/4拍子なら1,2,3,4,1,2,3,4...とcount欄に書いていきます。
私は毎週気に入った曲のパターンを解析してPCのフォルダに保存しています。上のチャートを印刷して使うのもいいですが、もっといい方法があります。
https://splice.com/sounds/beatmaker
この「Splice Beatmaker」を使えばドラムパターンが視覚化でき、それらは保存したりAbleton Drum Rackに直接いれることも可能です。
3. メロディを理解する
メロディやハーモニーを理解するのはなかなか骨の折れる作業です。音楽理論の知識がないとどこから始めたらよいのかさっぱりわかりません。しかし少しの努力でメロディを解析できるようになる方法がありますのでお教えしましょう。
(1)曲のサビやブレイクなど小さな部分に注目する。
(2)DAWのピアノロールなどを使って最初と最後の音を確認する。
(3)最初と最後の音を紙に書く。
(4)もう一度メロディを聴いて、最初の音からラインを引いていく。メロディの音程が上がればラインも上がり、音程が下がればラインも下がる。
(5)紙に書いたラインを参考にしてピアノロールに音程を探りながら打ち込んでいく。
これでこの記事は以上です。
最後のメロディを解析する方法は正直あまりいいとは思えませんが、ドラムパターンを解析して保存しておくといったメソッドや、曲解析をする時、どこに注目すれば良いかなどのポイントはとても役に立つと思います。
普段何気なく移動中に聴いていても、集中して聴いてみるといままで聞こえなかった音がなっているのに気づくこともあります。いろんな曲を解析してそれらのオイシイ部分を自分のトラックに詰め込みましょう。
「真似る」という行為は一見オリジナリティから遠ざかるように見えますが、オリジナリティとはただ単に既存のアイデアの組み合わせだと、名書「アイデアのつくり方」は言っています。
普段から曲を「聴く」習慣をつけて、これからより「プロ」っぽい展開やサウンドに仕上げてみましょう。
これを読めば基本的なマスタリングの流れは理解できるよ
マスタリングの基本要素にEQ, コンプレッション, マキシマイズなどが挙げられると思いますが、それらを具体的にどのように使っているのかRAが丁寧に解説してくれています。
ここで使われているプラグインは比較的高価なものですが、これらを持っていなくても基本的な考え方は同じです。しかしここで挙げられているのはほんの一例ですので、すべての曲にここで紹介されている設定がフィットするわけではありません。
基本的な流れを理解するのに役立ててください。
なお、現在日本のRAの記事ではリンクの曲を再生できなくなっていますので、英語版の方で視聴するようにしましょう。こちら内容は全く同じです。
RA: Understanding DIY mastering
マスタリングに最適なEQとは(聴き比べ)
マスタリングにおけるEQの役割とは何でしょう。
ミックスにきらびやかさを出したり、不要な帯域を削ったり...
味付けのあるものからクリアで自然なEQingが行えるものまで多種多様です。
そんな中、こちら「Gearshoot」というサイトから全部で6つのマスタリングEQを聴き比べできる記事がありましたのでご紹介。
ロー、ミッド、ハイと3種類の聴き比べがあり、中には40Hzをブーストしているものもあるのでモニタースピーカーかヘッドフォンでの視聴をおすすめします。
実際に上のリンクに飛べば簡単に聴き比べを行うことができます。
EQはある程度の値段になってくるとクオリティというより好き嫌いの問題になってくるのですが、個人的にはこの中では「UAD NSEQ-2」「FabFilter Pro-Q2」「TDR SlikEQ M」が好みのサウンドでした。
TDR SlickEQ M - Mastering Edition | Tokyo Dawn Records
FabFilter Pro-Q 2 - Equalizer Plug-In
「FabFilter」はミキシングやマスタリングにおける様々なプラグインを提供していますが、どれもナチュラルで高品質な印象です。この「FabFilter Pro-Q2」も余計な味付けがなくスッと自然に欲しい帯域を持ち上げてくれますね。
「UAD NSEQ-2」は程よい味付けのあるEQで、特に中低域においてブーストによって音に温かみと厚みを与えます。仕上がりが少し無機質だなと感じるミックスは、こういったプラグインを挿すことで音楽的な響きを与えられます。こいつはノーマークでしたが僕のウィッシュリストに追加ですw
「TDR SlikEQ M」は「UAD NSEQ-2」ほど特徴的ではないですが、ミックスに適度な温かみを広がりを出してくれます。上記ふたつの中間といった印象ですね。
こちらはお値段がすごく割安で、現在60ユーロ(2017/6/7)で販売していてこの中では一番安いプラグインです。しかしこの安さを感じない品質の高さはさすがTDRと言ったところです。
この会社は無料で「TDR VOS SlikEQ」というものも出しているのですが、こちらは無料とは思えないほどのクオリティでとても自然でクリアなミキシングEQです。
ぜひダウンロードしましょう!
TDR VOS SlickEQ | Tokyo Dawn Records
以上、僕の個人的なEQ批評でした。
これ以外にもマスタリングに使えるEQはたくさんありますが、品質の高いものとなると数が限られてきます。多すぎてどれを選べばいいかさっぱりわからない!という方はとりあえず「FabFilter Pro-Q2」を買いましょうw
少々高いお値段しますが、持っていて絶対に損のない万能EQです!
そしてこちらの「Gearshoot」というサイトではEQ意外にも様々なプラグインの比較を行っているので、プラグインを購入する際の参考になるでしょう。
Daft Punk アルバム制作秘話
2013年に発売されグラミー賞を獲得したDaft Punkの「Random Access Memories」。
特にこの「Get Lucky」は程よいダイナミクスを保ちつつ音圧感もあり、リッチでウォームな素晴らしいサウンドに仕上がっています。
この曲のミキシングを担当した「Mick Guzauski」のインタビューの日本語訳がHook Upに載っていたのでご紹介しましょう。
Mick Guzauski インタビュー : Daft Punk "Random Access Memories" におけるミックス秘話 | Hookup, Inc.
主にUADプラグインに関する記事ですが、ミキシングにおいてUADユーザー出ない方にも参考になる記事となっています。
こちらもUADがメインの記事。
Mick Guzauski (Daft Punk, Pharrell, Eric Clapton) への10の質問 | Hookup, Inc.
この他にもHook UpにUniversal Audioのインタビュー記事が多く上がっているので、ミキシングの質を上げたい方はぜひ一読することをお勧めします。
アナログサチュレーションプラグイン12選
サチュレーションとは簡単にいえば歪みのことです。
歪みと聞くと一見良くない印象ですが、真空管やテープを通すと音が良くなる、暖かくなるといわれるのはこの歪みの影響です。他にも音を馴染ませたり、目立たせたりといった様々な効果を生みます。ギターを弾く方などは、このあえて歪ませることがどのような効果を生むかよく理解していると思います。
ちなみにここでも紹介されている「Saturation Knob」はSoftubeから出ている良質な無料プラグインなので、必ずあなたのプラグインリストに入れることをお勧めします。
ミキシング界では名の知れたのYouTubeチャンネル「Pensado's Place」でも紹介されていますね。
SoundToysの「Decapitator」は歪み系プラグインの紹介で必ず出てくるくらい定番のサチュレーターです。僕もいずれゲットしたいと思っています。
多くの会社がデモ版を用意してくれているので、一度試してみて音にどのような変化が生まれるのか自分の耳で確かめてみましょう!
マスタリングに関する5つのTIPS
前回に引き続き"ProAudioFiles"からマスタリングのTIPSです。
この記事の作者Ian VargoさんはMastering in the Boxというチュートリアルを$67で販売していて、私も近々買ってみてレポートしようかと思っています。
では、5つのTIPSをご紹介していきましょう。
1. リミッターについて知る
なるべく多くのリミッタープラグインに触れてみてください。(無料で1ヶ月ほど体験できるものがほとんどです)
そしていろんな設定を試してみる。特にアタックとリリースは曲の完成度に大きな影響を与えます。いいプラグインを手にしても設定に関して無知だと、曲の良さをマスタリング損ねてしまいます。
2. リファレンスを使う
何も手がかりがない状態でマスタリングを行うのは、iPhoneを持たずに海外旅行に行くようなものです。プロの楽曲はどのくらい低域がでているのか、どのくらいダイナミクスを残しているのかなど、自分の楽曲になるべく雰囲気の近いリファレンス曲を見つけて逐一比較しながらマスタリングしていくのが良いでしょう。こちらの動画に詳しい方法が紹介されています。
How to Reference Frequency Ranges with FabFilter Pro-Q 2 - YouTube
3. わずかなEQが違いを生む
ほとんどの人の家はルームアコースティックが完璧に整えられていないので、余計な周波数帯はEQで取り除きましょう。
一旦余計な周波数を取り除けば音圧も上げやすくなり、低域や高域をシェルフで大胆にブーストしても特定の周波数が目立ってしまうことはありません。
マスタリングにおいておすすめのカット用EQ: Brainworx bx_digital V3 EQ Plug-In
ブースト用EQ: Manley® Massive Passive EQ Plug-In | Universal Audio
4. メーターを理解する
耳は間違えます。信頼できるメーターを見つけて有効活用しましょう。
iZotope Insight | Essential Metering Suite Plug-in
5. 学ぶのは「音」に関することだけじゃない
DDPやディザリングなど苦手な人が多いトピックについても学びましょう。飛躍的に音が良くなるわけではないですが、セルフマスタリングするなら必ず知っておくべき事柄です。
Introduction to Disc Description Protocol (DDP) — The Pro Audio Files