マスタリングに出す前に確認すべき8つのこと
マスタリングは下手に個人でやるより、プロに任せた方が確実に良いものに仕上がります。こちらはミックスを提出する前にアーティストがやっておくべきことを8つにまとめた記事です。
1. マスターにはエフェクトをささない
2. ピークは-3dBから-6dBになるようにする
3. ピークが-3dB以上ある場合、マスターフェダーでなく各チャンネルのフェダーを下げる
4. 不必要なノイズはカットする(ハイパスフィルターなどで)
5. 曲の最初と最後は2-8bar無音にする
6. ノーマライズ, ディザーはオフにする
7. エンジニアに渡すリファレンス曲を用意しておく
マスタリングはあくまで最終調整なので、ミックスを出す前に各チャンネルのレベル調整やEQなどは確実に済ませておきましょう。
スモールスピーカーのためのミキシング
みなさんは自宅のモニタースピーカーや高性能ヘッドフォンで仕上げた自分の曲を、iPhoneやミニスピーカーで聴いてこう思ったことはないでしょうか。
「なんだか低音が物足りない...´д` ;」
大型のスピーカーで聴くと良い鳴りがするのに、小さなサウンドシステムだと低音がスカスカのミックスに聴こえてしまう。
もちろん小さなスピーカーは低域まで出ないので聴こえ方が変わるのは当然なのですが、一般の方は大型のモニタースピーカーなんか家にありません。
そこで小さなシステムでも、ベースやキックなどの低音が感じられるミックスの方法をこちらの記事からご紹介しましょう。
ポイントは「ファンダメンタル(基音)」と「ディストーション」です。
ファンダメンタルとはその楽器の一番低い周波数のこと。様々な楽器の音色はファンダメンタルとハーモニクス(倍音成分)によって成り立っています。
例えばギターの5弦開放(ラの音)は110Hz(基音)ですが、220Hzや440Hz(倍音)も同時に鳴って音色を構成しています。
つまり低音がでないスピーカーに対してはベースなどの倍音成分をディストーションによって強調させることで、あたかも出ているかのような錯覚を起こすことができます。
他の例を見てみましょう。有名なTR808のキックは素晴らしい低域を持っていますが、120Hzより上がほとんど出ていないのでそこらのショボいスピーカーでは低音を感じられません。ディストーションによってハーモニーを与える選択肢もアリですが、高域のペチッというアタック感を持ったキックをハイパスして重ねる方法もあります。
これによってキックの低域が聴こえなくても、高域のアタックによって耳はキックを感知するのです。
あと下の写真のような、様々な環境での鳴りを再現するプラグインもでているので、ミックス時にこういったものでシミュレーションしてみるのもいいかもしれません。
楽器別のEQ解説
EQって難しいですよね。最初はどこをどう触ればいい音になるのかさっぱりわからないし、ある所を目立たせるとある所が足りなくなる無限ループに陥ったり...
EQは基本的にブーストよりもカットが中心になります。
高域が足りないミックスも低域をうまくEQでカットできれば、より自然でクリアな音が手に入ります。
今日は大まかにどの周波数がどんな働きをしているのか、楽器別でまとめたものを見つけたのでご紹介しましょう。
バンドを構成するおおよその楽器が載っています。
ボーカルの抜けが悪い、スネアのアタックが足りないけどどこをブーストすれば良いのかよくわからない、...
そんな時このチェックシートを参考にEQをかけてみましょう。
そしてダンスミュージックのミックスにおいて、特に重要なのはキックとベースです。この二つの土台がしっかりしていれば、ミックスが大きく崩れることはありません。
日々自分でEQを弄ってみて、その感覚を養うことをお勧めします。
コンプレッサーでやりがちな9つの過ち
"The Pro Audio Files"からコンプレッサーについての記事です。
ここにはコンプレッサー使用時の9つの過ちが書いてありますが、今日はその中でも僕が特に共感できる5つをご紹介しましょう。
・アタックタイムが早すぎる
アタックタイムが早いと即座に音の出っ張りを潰し、ミックスにある程度の統一感を与えます。
しかし早すぎると音のトランジェントを潰してしまい、ミックスが平坦でつまらないものになってしまいます。例えばギターを弾く音、スネアのアタック感など。
特に気をつけたいのはミックスに挿すトータルコンプで、アタックタイムはかなり遅めに設定しておかないと、一見まとまったミックスに聴こえますが音の抑揚が潰れ、のっぺりした仕上がりになってしまいます。
音源によっては早いアタックタイムが有効な場合もあります。コンプを使ってどのような音作りがしたいのか、あらかじめイメージしておくことが大切です。
こちらの動画では、どのようにアタックとリリースを設定したらよいか丁寧に解説してくれています。
・ソロボタンを使わない
例えばコンプで叩きたい楽器があるとして、そのトラックをソロで聴きながらコンプレッサーをかけるべきではありません。
ソロで聴いていて程良いと感じていても、曲の文脈のなかで聴いてみるとあまりコンプがかかっていない場合があります。これはソロにすることでコンプの効果がはっきり聴こえすぎるためです。全体と馴染んでいなければ意味がないので、コンプを使うときソロボタンを使うのはやめましょう。これはコンプだけでなく、EQingなどにおいても言えることです。
This Button Can Destroy Your Mixes. Are You Misusing It? - Behind The Speakers
・すべてにコンプを適用しない
その音がコンプを使わなくてもすでに良いサウンドなら、そのままでミックスすべきです。コンプ使うときは必ずなにかしら理由があって使いますので、すべての料理にマヨネーズをかけるようなことはやめましょう。
これは僕が初心者の頃、よく陥っていた罠のひとつです。
・モニターがでかすぎる
モニターしている音が大きいとその分コンプを深くかけようとして、結局平らなミックスになってしまいます。
どのボリュームでも程よく聞こえるようなミックスを心がけましょう。
・コンプはあくまで補助的なもの
コンプは万能ではありません。かけすぎると平坦でつまらないミックスになってしまいますので、極端な音の出っ張りはオートメーションで修正しましょう。
Sonnox10周年記念セール(2017/6/15まで)とMixingのあれこれ
高品質なミックス、マスタリングプラグインを提供するSonnoxが、10周年を記念して半額セールを行っているので関連でいくつかご紹介しましょう。
まず、Sonnoxの日本代理店であるMedia Integrationが「MixがうまくなるTips」と称して、Sonnoxプラグインを使ったMixチュートリアル動画を定期的に配信しているのですが、こちらのクオリティがかなり高くSonnoxプラグインを持っていない人にも非常にためになる動画となっています。
Mixが上手くなるTIPS | Media Integration, Inc.
こちら、かなりの量がありますが音楽制作に関わるすべての人がみるべき動画ですので、お休みの日にたっぷり時間をかけて全部観ましょう。
もうひとつ「Sonnox Fab Tips」と称してEQの使い方の記事があったのでこちらも載せておきます。
こちらのFab Dupontさんも言っていますが、モヤッとしたミックスを処理しようとするとき、どうしても高域のブーストをしてしまいがちです。
ブーストは原音を損ねてしまう可能性があるためミキシングの基本は「カット」です。
この「モヤッ」問題は、クラブエンジニアとして音作りをしているときもよくあるのですが、150Hzから300Hzの中低域が高域の輝きを損ねていることもあれば、60Hzのような一見クラブサウンドに欠かせない帯域が出過ぎて邪魔をしていることもありますので、状況によっての見極めが大切です。
普段からEQを意識して触ること、どの帯域を触るとどのように音が変化するのかを自分の耳で記憶しておくことが大事ですね。
Eelke Kleijnの曲づくり
Spinnin RecordsやSuaraなど大手レーベルからリリースする傍ら、映画音楽なども手がけているEelke Kleijnのスタジオ動画。
ここで彼が紹介しているのはSpinninから出ている"Ein Tag Am Strand"です。
浮遊感のあるギターリフはギタープラグインにディストーションやフェイザーをかけて加工しています。シンセの音色にギターアンプをかませているのも面白いですね。
シンプルなメロディラインは一度バウンスして、オーディオファイルの状態で加工したりと聴き手を飽きさせないように工夫している様子がうかがえます。
EelkeはSpinninのアーティストの中でも比較的Deep Houseよりで、オススメのアーティストでもあります。
気が向いたらチェックしてみてください。
Eelke Kleijn - A Tale Of Two Lovers [HD] - YouTube
Eelke Kleijn - Celebrate Life (Official Music Video) - YouTube