スモールスピーカーのためのミキシング
みなさんは自宅のモニタースピーカーや高性能ヘッドフォンで仕上げた自分の曲を、iPhoneやミニスピーカーで聴いてこう思ったことはないでしょうか。
「なんだか低音が物足りない...´д` ;」
大型のスピーカーで聴くと良い鳴りがするのに、小さなサウンドシステムだと低音がスカスカのミックスに聴こえてしまう。
もちろん小さなスピーカーは低域まで出ないので聴こえ方が変わるのは当然なのですが、一般の方は大型のモニタースピーカーなんか家にありません。
そこで小さなシステムでも、ベースやキックなどの低音が感じられるミックスの方法をこちらの記事からご紹介しましょう。
ポイントは「ファンダメンタル(基音)」と「ディストーション」です。
ファンダメンタルとはその楽器の一番低い周波数のこと。様々な楽器の音色はファンダメンタルとハーモニクス(倍音成分)によって成り立っています。
例えばギターの5弦開放(ラの音)は110Hz(基音)ですが、220Hzや440Hz(倍音)も同時に鳴って音色を構成しています。
つまり低音がでないスピーカーに対してはベースなどの倍音成分をディストーションによって強調させることで、あたかも出ているかのような錯覚を起こすことができます。
他の例を見てみましょう。有名なTR808のキックは素晴らしい低域を持っていますが、120Hzより上がほとんど出ていないのでそこらのショボいスピーカーでは低音を感じられません。ディストーションによってハーモニーを与える選択肢もアリですが、高域のペチッというアタック感を持ったキックをハイパスして重ねる方法もあります。
これによってキックの低域が聴こえなくても、高域のアタックによって耳はキックを感知するのです。
あと下の写真のような、様々な環境での鳴りを再現するプラグインもでているので、ミックス時にこういったものでシミュレーションしてみるのもいいかもしれません。